ホームニュース目から身体の健康状態がわかる?

目から身体の健康状態がわかる?

「目は口ほどに物を言う」「目は心の窓」など、目は身体の状態を表すとされます。

新約聖書にも下記のような言葉があります。

「体のともし火は目である。目が澄んでいれば、あなたの全身が明るいが、 濁っていれば、全身が暗い。だから、あなたの中にある光が消えれば、その暗さはどれほどであろう。」

マタイによる福音書 6:22-23 新共同訳

人の目の奥を見ることは、本当の生物学的年齢を測るはるかに優れた方法であり、患者さんの将来の健康状態を垣間見ることができるかもしれません。

British Journal of Ophthalmologyに発表された論文によると、目の奥の組織である網膜を見るだけで、その人の寿命を予測する機械学習モデルが開発されました。

このアルゴリズムは非常に正確で、英国に住む約47,000人の中高年の年齢を3.5年以内の枠で予測することができました。 

これらの網膜をスキャンしてからちょうど10年後、1,871人が亡くなっており、網膜の年齢が高く見える人はこのグループに入る可能性が高かったのです。

例えば、ある人の網膜が実際の年齢より1歳古いとアルゴリズムが予測した場合、その後11年間に何らかの原因で死亡するリスクが2%上昇しました。同時に、心血管疾患やがん以外の原因による死亡リスクも3%上昇しました。

この結果は、網膜が加齢によるダメージに対して非常に敏感であるという証拠が増えつつあることを裏付けています。網膜は血管と神経を持つ組織であるため、個人の血管や脳の健康状態について重要な情報を教えてくれる可能性があるそうです。

これまでの研究で、人間の目の奥にある細胞は、心血管疾患や腎臓疾患などの老化の兆候の発生を予測するのに役立つことが示唆されています。しかし、今回の研究は、「網膜年齢差」が死亡率全体の強力な予測因子として提示された初めての研究となります。 

網膜年齢差と非心血管・非癌死亡率との有意な関連は、眼と脳の関連性を示す証拠の増加とともに、網膜が神経疾患の「窓」であるという考え方を裏付けるかもしれません。

他の既存の生物学的年齢予測として、神経画像、DNAメチル化時計、トランスクリプトーム老化時計などがありますが、網膜の年齢ギャップほど正確ではありません。また、これらの方法はコストや時間がかかり、侵襲的である可能性もあります。

一方、網膜は5分以内に簡単にスキャンすることができます。この組織層が身体の他の部分とどのようにつながっているのかがわかれば、臨床医は優れた新しいツールを手にすることができる可能性があるそうです。

人間の眼球を痛みなく素早くスキャンすることで、医師が早期死亡の危険性が高い「ファストエイジャー」を特定できるようになる日が来ることが期待されます。

参考文献

https://www.sciencealert.com/looking-deep-into-your-eyes-could-reveal-whether-you-re-a-fast-ager

KAMUYAI編集部http://kamuyai.com
本質を突いた、長く読まれる記事を目指します。

あわせて読みたい