2021年12月10日、世界で最も伝染性の高い笑い声を持つダグ・コリンズ(Doug Collins)氏(85歳)が新型コロナウイルス感染症で亡くなりました。
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大勢の笑いを誘ったSkype Laughter Chain
ダグ・コリンズ氏は2008年の”Skype Laughter Chain”に加わっていた方として覚えている方もいるのではないでしょうか。
「笑わせる名人」として有名になったダグ・コリンズ氏ですが、自分の笑いを失っていた時期がありました。
テネシー州メンフィスの空調販売店の経理として約35年にわたり、働いてきたダグ・コリンズ氏ですが、2001年7月に仕事を解雇されてしまいました。
その直後、コリンズ氏の妻が脳腫瘍の治療を受けることになりました。しかし、解雇されたため、医療保険に入れなくなってしまったのです。請求書が積み重なるにつれ、自分の世界が崩れていくのを目の当たりにしたそうです。彼は何カ月も笑っていませんでした(ダグ・コリンズ氏はスクールバスの運転手になる)。
コメディーショー にデビュー
彼が笑いを取り戻したのは、息子が気晴らしに、コメディーショーに連れていってくれたおかげでした。そのショーの舞台にダグ・コリンズ氏も招かれたのです。
舞台上のマイクが彼の独特の緊張した笑い声を拾い、それをホール全体に増幅しました。
突然、客席が静まり返ったかと思うと、観衆は大笑いし始めました。他の参加者も司会者も笑い始めました。そして、コリンズ氏自身も負けじと、笑い声を上げました。ショーは一時中断され、10分以上、皆、ただ笑っていました。
このショーのビデオはYouTubeにアップされ、瞬く間に彼の名は知れ渡りました。
メディアから「世界で最も伝染性の高い笑いを持つ男」と呼ばれるようになったのです。
ドキュメンタリー映画『Laughology』でも取り上げられました。MTVやラジオにも出演し、皆の笑いを誘いました。
2006年、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの神経科学者チームが、人が笑い声を聞くと、顔や唇を無意識に動かす脳の部分が活性化されることを発見しました。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームはコリンズ氏を招き、MRIスキャンで調べたところ、自分の笑い声を聞くと、彼の脳の多くが活性化していることがわかりました。通常の人間よりも大きな領域で活性化しているとのことです。
人生を楽しませてくれた笑い
生前、「人生を楽しんでいるよ」とコリンズ氏はインタビューで語っています。そして、彼だけではなく、多くの人も楽しませてもらったのは間違いないでしょう。
コリンズさん、私達を笑わせてくれてありがとう 天国でもその笑い声を響かせてください。
参考文献
https://montrealgazette.com/news/doug-collins-the-master-of-laughter