今回はプラセボ効果についてです。 運動選手のパフォーマンスや健康などプラセボは我々に大きく関わっています。
ウィキより:
偽薬効果(ぎやくこうか)、プラシーボ効果(placebo effect)、プラセボ効果とは、偽薬を処方しても、薬だと信じ込む事によって何らかの改善がみられる事を言う。この改善は自覚症状に留まらず、客観的に測定可能な状態の改善として現われることもある。原病やその症状自体の改善というよりは、「薬を飲んでいる」事による精神的な安心感の方が目的となる事もあり、このような単なる安楽は通常偽薬効果には含まれないが、その区別が難しいこともある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%BD%E8%96%AC
目次
プラセボ効果は強まっている?
臨床試験では実薬群とプラセボ群で比較しますが、米国ではプラセボ群は時間とともに強まっている傾向があるそうです。これの一つの原因として製薬企業の広告により期待感を高めてしまったのではとのことです。
https://sciencebasedmedicine.org/are-placebos-getting-stronger/
プラセボは万能薬ではない
Steve Silvermanは、Hróbjartsson Aのメタ解析ではプラセボの効果は見られないとしていますが、疾患が幅広すぎるのが問題であるといいます。どれくらい幅広いかといえば、高血圧、喘息、貧血、高血糖、高コレステロール血症、レイノー病、アルコール乱用、喫煙、肥満、口腔衛生、単純ヘルペス感染、細菌感染、風邪、嘔気、腸閉塞、不妊症などなど……
プラセボ効果は限られており、強く見られるのは疼痛、うつ病、不安、パーキンソン病、皮質中枢に関わる疾患だそうです。
Steve Silvermanのコメントより
http://scienceblogs.com/whitecoatunderground/2009/09/03/placebo-is-not-what-you-think/
プラセボが限られる効果と聞くとがっかりするかもしれませんが、痛みだけでも患者の訴えではトップランキングに入るものです。昨今の健康保険の圧迫を考えるとプラセボを積極的に使うべきと主張される人もいます。
プラセボ効果を細かく見る
偽薬を与えられた患者に何が発生するか細かく分けると:
自然治癒、平均値への回帰、患者と医師のバイアス、不明確な検出、未知の付加的な介入、そして我々がプラセボ効果として考える「心理社会的効果・精神生物学的要素」が出てきます。
「心理社会的効果・精神生物学的要素」を分ければ、遺伝、期待感(不安と報酬)、学習(パプロフ条件付け、社会的学習、期待感強化)です。これほど細かいプラセボを臨床試験で比較するには、患者が気づかないうちに薬を投薬する方法や、偽薬と伝えて実薬を渡す群(と実薬と伝えて偽薬を渡す群)といった方法が提案されています。
Benedetti, Fabrizio, Elisa Carlino, and Antonella Pollo. “How placebos change the patient’s brain.” Neuropsychopharmacology 36.1 (2011): 339-354.
プラセボ効果は薬の色、ブランド名、量などでも発生するそうです。青色が効くのか効かないのかも文化で異なるとのこと。