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ベートーヴェンの未完成曲
年末、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲第9番が響き渡ります。ベートーヴェンは、最晩年まで作曲を続け、未完成の作品をいくつか残しています。ベートーヴェンの死後200年を経て、その中の交響曲第10番をAIが完成させました。
完成させたのはPlayform AIのコンピューター科学者たちによるAIです。第10番はまだ初期の作品で、ベートーヴェンは2、3の編曲されたメモと、この交響曲がどのように聞こえるかについてのアイデアを書き留めたものしか残していませんでした。
過去にも人の手により補筆が試みられてきました。中でも、バリー・クーパー版が有名です。
2019年、“Beethoven X: The AI Project”と称してAIによる第10番の完成プロジェクトが開始されました。
そして完成へ
ベートーヴェンの最後のビジョンを実現するために、研究者と世界的な音楽学者が、第10交響曲の断片を含む作曲家の作品群を編集し、そのデータセットを機械学習アルゴリズムに供給したのです。
2019年11月にはピアノのサンプル曲がベートーヴェンの専門家や音楽学者も含む聴衆の前で、演奏されました。彼らはどの部分がオリジナルまたはAlによる創作なのかを聞き分けることが出来なかったそうです。
2020年に完成曲のお披露目をする予定が新型コロナウイルス感染症で延びてしまい、2021年10月9日、ドイツのボンにて一般向けの演奏が行われました。
AI曲に対する批評
これに対する世間の反応はさまざまだったそうです。ミュンヘン工科大学の音楽教授であるフェリックス・メイヤー氏は、ドキュメンタリー番組でこのフレーズを「まったく無意味な音楽」と表現したそうです。過去に第10番第1楽章の再現を試みたことがあるバリー・クーパー氏もベートーヴェンが意図したものを説得力を持って再現しているとは到底思えないとの批評をしています。
下記がドイツのボンにて演奏されたものです。皆さんはベートーヴェンの曲を再現できていると思いますか?
ベートーヴェンだけでなく、他の作曲家も未完成の曲はありますので、今後AIが活用されていきそうです。
参考文献